Reggieの勝手に豆知識|デニムとジーンズの違いとは。名前のルーツに隠れたジーンズの歴史。

Reggieの勝手に豆知識|デニムとジーンズの違いとは。名前のルーツに隠れたジーンズの歴史。

「デニム」と「ジーンズ」の違い。
服好きの方なら知っている人も多いかもしれません。
ですが、この2つの言葉は、最初から今の意味で使われていたわけではありません。
それぞれ異なるルーツを持つ言葉が、アメリカのワークウェアの歴史の中で重なり、やがて若者文化とも結びつきながら現在の形へと変わっていきました。
今回は、デニムとジーンズの違いを入り口に、その語源と、現在のジーンズへとつながる流れを紐解いていきます。

色落ちしたジーンズを並べた写真

■ 1. 「デニム」と「ジーンズ」は何が違う?

まずは大前提となる違いを整理しましょう。
結論から言うと、デニムは「生地」の名前で、ジーンズはその生地で作られた「パンツ(製品)」の名前です。

・デニム(Denim)
タテ糸にインディゴ(藍色)などの色糸、ヨコ糸に白糸を使い、表面に斜めの線が出るように織られた綾織物のこと。
青色に限らず、ブラックデニムやホワイトデニムなどもあります。

・ジーンズ(Jeans)
デニム生地を使って仕立てられたパンツのこと。

2つの違いを押さえたところで、ここからはそれぞれの言葉が生まれたルーツを辿ります。

■ 2. デニムの語源:フランス南部の街「ニーム」

デニムの語源は、17〜19世紀にかけて織物産業で栄えたフランス南部の街、ニーム(Nîmes)にあります。
この街で作られていたとされるのが、「Serge de Nîmes(セルジュ・ド・ニーム)」と呼ばれる織物です。
「ニームのサージ生地」という意味を持つこの織物は、船の帆や水夫の服にも使われたと伝えられるほど、丈夫な生地でした。
この呼び名が英語圏に伝わる中で変化し、やがて「デニム」として定着していきました。

【英語圏での呼び名の変化】

元のフランス語名

Serge de Nîmes(セルジュ・ド・ニーム/ニームのサージ生地)

英語での呼び名の変化

serge de Nim(セルジュ・ド・ニム)

serge denim(セルジュ・デニム)

denim(デニム/短縮された呼び名)

■ 3. ジーンズの語源:イタリアの港町「ジェノヴァ」

一方、ジーンズの語源は、16世紀に海運と交易で栄えたイタリアの港町、ジェノヴァ(Genova)に遡ります。
当時、北イタリアで作られていた丈夫な織物「fustian(フスティアン)」は、ジェノヴァの港を通じて各地へ運ばれていました。
英語圏で「ジェノヴァ由来の織物」という意味を持ち、「jean fustian(ジーン・フスティアン)」と呼ばれたこの生地は、やがて「jean(ジーン)」と短く呼ばれるようになります。
(※「jean」は、古い英語でジェノヴァを指した言葉に由来します)

【英語圏での呼び名の変化】

英語での呼び名の変化

jean fustian(ジーン・フスティアン/ジェノヴァ由来の織物)

jean(ジーン/短縮された呼び名)

ヨーロッパにルーツを持つ denim(デニム)と jean(ジーン)。
それぞれ異なる背景を持つ2つの言葉は、19世紀のアメリカでワークウェアの歴史と交わっていきます。

■ 4. 19世紀アメリカでのデニム生地とジーン生地

語源はヨーロッパにある「デニム」と「ジーン」ですが、19世紀のアメリカでは、それぞれ別のワークウェア生地として使われていました。
この頃には、どちらもアメリカ国内で生産されていました。

・デニム生地
タテ糸に色糸、ヨコ糸に白糸を使った、丈夫で高価な生地。

・ジーン生地
タテ糸とヨコ糸に同じ色の糸を使った、比較的安価な生地。

― Levi’sが採用した生地

1873年、Levi’s(リーバイス)は仕立屋のヤコブ・デイビスとともに、鉱山労働者などの激しい作業に耐える「リベット補強パンツ」を開発しました。
そこで主に使われたのが、作業着に適した丈夫なデニム生地でした。
ただし、当時の名称は「ジーンズ」ではなく、「ウエストオーバーオール(腰で穿く作業用パンツ)」や「オーバーオール」と呼ばれていました。

1911年の新聞に掲載されたLevi Strauss & Co.のTwo Horse Overalls広告
📷 1911年のLevi’sの新聞広告。「Two Horse Overalls」と表記されています。

出典:Library of Congress, Chronicling America

■ 5. 「ジーンズ」という呼び名の定着と由来

― 若者文化の中で広がった“ジーンズ”

Levi’sが「ウエストオーバーオール」と呼んでいたワークパンツは、1950年代に入ると、若者たちの間で「ジーンズ」と呼ばれ始めます。

当時、アメリカでは戦後の若者文化が勢いを増していた時代。
マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンといったスターたちが映画の中で着用したことも重なり、それまで主に作業着として見られていたデニム製のパンツは、「若者の反骨精神を象徴する服」へとイメージを変えていきました。

若者たちの間で使われたこの呼び名は次第に定着し、1960年にはLevi’sも公式表記を「overalls」から「jeans」へと変更しました。

― 呼び名の由来に関する2つの説

実は、なぜ「ウエストオーバーオール」から「ジーンズ」へと呼び名が変わったのか、Levi’sの資料にも明確な理由は記録されていません。
ただ、その由来には主に2つの説があります。
・イタリアの港町ジェノヴァに由来する説。
・かつてアメリカで流通していた、ジーン生地のパンツ(jeans pants)に由来する説。

映画『理由なき反抗』のポスターに写るデニム姿のジェームズ・ディーン
📷 1955年公開の映画『理由なき反抗』のポスターに写る、デニム姿のジェームズ・ディーン。

出典:映画『理由なき反抗』のポスターに写るデニム姿のジェームズ・ディーン

ヨーロッパの語源から、アメリカのワークウェア、そしてカルチャーへ。
ジーンズには、単なる服を超えた深い歴史があります。

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