Reggieの勝手に豆知識|迷彩の歴史 #2:なぜ「カモフラージュ」はフランス語なのか?赤ズボンの大失敗が生んだ逆転劇

Reggieの勝手に豆知識|迷彩の歴史 #2:なぜ「カモフラージュ」はフランス語なのか?赤ズボンの大失敗が生んだ逆転劇

前回のコラムでは、フランス軍が「赤ズボン」で目立ちすぎて大敗したお話をしました。
しかし、その屈辱こそが現代のファッションに繋がる迷彩のルーツになっていたんです。

 

・語源はフランス語。カモフラージュの意外なルーツ。

実は「カモフラージュ」という言葉は、フランス語の“camoufler(化かす、変装させる)”が語源。
第一次世界大戦中の1915年、あの赤ズボンの大損害を受けてフランス軍は、世界初の公式迷彩部門とされる組織を設立します。
そこに集められたのは兵士ではなく、画家や彫刻家といった「視覚のプロ」たち。
のちに部隊は大規模な組織へと拡大し、芸術を「生存のための武器」へと変えたのです。

フランス軍の迷彩部門で使われた腕章。カメレオンは周囲に溶け込む擬態の象徴として採用された。
📷 フランス軍の迷彩部門で使われた腕章。カメレオンは周囲に溶け込む擬態の象徴として採用された。

出典:Wikimedia Commons, “Armband of the Camouflage Section”, CC BY-SA 4.0

・【フランス】景色をハックする「鉄の切り株」(1915年頃~)

フランス軍のアーティストが仕掛けたのは、究極の視覚トリックでした。
真夜中に、砲撃で折れた本物の木を切り倒し、寸分違わぬ「鉄製のレプリカ」を設置。
中に観測兵を潜ませ、敵の動向を監視していたのです。

第一次世界大戦期のフランスで撮影された、「観測木(arbre observatoire)」の写真。
📷 木に偽装された観測用の「観測木」

出典:Wikimedia Commons, “Wartime Italian M1929.jpg”, CC BY-SA 3.0

・【イギリス】タバコを吸う「身代わりの頭」(1915年頃~)

第一次大戦中、イギリス軍も知略を巡らせます。
投入したのは紙製の「身代わりの頭」。
ゴム管で口からタバコの煙を出すギミックまで備わっていました。
これをおとりにして敵に撃たせ、弾痕から射線を逆算してスナイパーの居場所を特定していたのです。

第一次世界大戦中、イギリス軍が使用した紙製ダミーヘッドの実物。
📷 紙製「身代わりの頭」の実物
出典:Wikimedia Commons, “Erbsenmuster.jpg”, Public domain
第一次世界大戦中、敵狙撃兵の位置を探るために使われた紙製ダミーヘッドの製作風景。
📷 紙製「身代わりの頭」の製作風景
出典:Wikimedia Commons, “Papier Mache decoy head”, CC BY-SA 4.0

・【イギリス】海をバグらせる「ダズル迷彩」(1917年~)

同じくイギリス軍の画家が考案したのが、巨大な船を幾何学模様で塗りつぶす「ダズル迷彩」。
広大な海で隠れるのは不可能。ならば「あえて目立たせて、速度や進行方向をバグらせよう」という発想でした。

第一次世界大戦中、ダズル迷彩が施された英国の兵員輸送船 HMT Olympic の写真。
📷 ダズル迷彩が施された英国の兵員輸送船 HMT Olympic

出典:Wikimedia Commons, “HMT Olympic.jpg”, Public domain

・ピカソが見た、キュビスムと戦場の重なり

作家ガートルード・スタインの回想によれば、パリで迷彩の大砲を見たピカソが、「あれを作ったのは僕らだ」と語ったという逸話も。
図形で形や輪郭をくずし、見え方を揺さぶるキュビスムの手法と、敵を欺く戦場の知恵。そこには確かな共通点があったようです。

フランスの軍事迷彩の発展に貢献した画家アンドレ・マールが描いた、迷彩された大砲のスケッチ。
📷フランス軍の迷彩発展に関わった画家アンドレ・マールが描いた、キュビスム的な迷彩大砲のスケッチ。

出典:Wikimedia Commons, “Camouflaged 280 Gun”, Public domain

【Reggieスタッフのひとりごと】

目立つことが弱点になったフランスが、のちに「カモフラージュ」を生み出す側になった。
その逆転劇に、迷彩の歴史の面白さがあります。

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